石井ゆかり@筋トレのブログです。
『星読み』もよろしく!

閖上、石巻。

7月22日、石巻での一箱古本市に参加してきた。
これで参加するのは5回目になる。
つまり、5年目。

・1回目
http://d.hatena.ne.jp/iyukari/20120802/p1
http://d.hatena.ne.jp/iyukari/20120728/p1

・2回目
http://d.hatena.ne.jp/iyukari/20140727/p1

・3回目
http://iyukari.hateblo.jp/entry/20150801/p1

・4回目
http://iyukari.hateblo.jp/entry/20160801/p1
http://iyukari.hateblo.jp/entry/20160801/p2


おおお
こう並べると
なんか、感慨深い・・・・


そのまえに
いつものように前乗りして
名取市の閖上地区に寄った。

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家が建ち始めている!

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もともと住宅地だった閖上地区は津波にさらわれて、
2012年には以下のような風景だった(ページ中ほどに写真が数枚)。
http://iyukari.hateblo.jp/entry/20120728/p1

震災から7年が経った今、
団地が建ち始め、街はこれから、息を吹き返すようだ。
以下のページに、その全体像が紹介されている。
名取市閖上(ゆりあげ)復興支援のブログ : 変わらぬ父の日課


こうやって毎年定点観測をしてきて、
今年は明らかに「変わった」感じがした。
去年までは「少しずつ変わっていっているなあ」と思っていたが
今年は「はっきり変わった」「時間が、ひとつの境目を超えた」ように感じられた。


何故そう感じたのだろう。


思うに
この「閖上に、住宅が建ち始めた」ことは、大きかった。


そしてもうひとつ。


空港からここまで、足がないので
いつもタクシーを利用していた。
一箱古本市以外にも、
書店さんのイベントや「おとのわ」のようなイベントで
震災後には何度か仙台を訪れ、そのたびにタクシーを利用していたのだが
そこに、決定的な差があった。


というのも
これまで乗ったタクシーの運転手さんは
おぼえている限り「ほぼ全員」が、
震災の話をしてくれたのだ。
ひとりのこらず、震災の話をしてくれた。
私は、タクシーに乗っても
基本的に、黙っている。
話しかけられればこたえるけれど、
自分から運転手さんに話しかけて雑談をする、
ということは、決して、しない。
にもかかわらず、
これまでの仙台・石巻旅行で乗ったタクシーの運転手さんは
すべて震災の話を、自分からしてくれたのだ。


それが今回は、なかった。
親切な運転手さんだったが、終始無言だった。
もちろん、たまたま無口な人だったのかもしれない。
今回偶然、そういう方だった、
というだけなのかもしれない。


閖上に建ち始めた家、震災の話のない車内。
あたりまえのことや、
偶然のことなのだが、
ごく自然に、力強く、
時間が変わったようだ、
という気がしてならなかった。

そして、
今、新しい難しさが「内側」に
育っているのかもしれない
と言う気もした。
外側から見れば
言わば、なにかがひとつ、終わったようにも思える。
でも、終わったように見える時のほうがむしろ
難しいのではないか、と思った。
なぜなら、決して、
「全てが終わった」わけではないからだ。
終わってはいないのに
終わったようにみえる。
そこが、もしかしたら今、
とても難しいのではないか。
そんな想像をした。



石巻に移動して一泊、
翌朝、古本市が始まった。
朝からたくさんのお客様に並んで頂いて、
45分で完売してしまった。
80冊以上も持っていったのに・・・・!
ほんとうにありがたい。

今回はリボーン・アート・フェスティバル
www.reborn-art-fes.jp
というイベントが街中で開催されていて、
そのためもあってか、とても人が多かった。
去年までの人通りとは全く違った。
お祭り!という雰囲気があって、
空気全体が楽しそうな感じだった。


前回場所を使わせて頂いたかめ七呉服店さん
https://ja-jp.facebook.com/376720672369860/
が、今回は一箱の会場に入っていなかったので
「去年でこりごり、になってしまったのだろうか・・・」
と不安になったのだが、
仮店舗に移転されていることがわかり
ちょっとほっとした^^;)


今回の場所は電気屋さんの前で、一箱は3店が並んだ。
おとなりの「古本ニョス湖」さんは、
もともとお客さんとして一箱古本市に来られて、
自分でも参加したくなって店主になった、
とのことだった。
今回私たちの場所を受け持って下さったスタッフの方も
もとはお客様だった。
あそびに来てくださった方が
いつのまにかまきこまれるように
「中の人」になっているのだった。
なんか
うれしい(笑


一箱古本市は
感染
するところがあるのかもしれない。


電気屋さんのご主人も一箱出していて、
ちょっと変わった本が多く、面白かった。
「古本ニョス湖」さんもとても親切で
少しおしゃべりできて、よかった。
毎年新潟から来てくださる山口達己・満喜子夫妻とも
一日、部活の仲間みたいに一緒にいた。
ここに来るのも、お会いするのも、
なんでも1年ぶりなのに
まるでつい先週、ここにいたみたいな気がする。


リピートしてくださるお客様もたくさんいらっしゃる。
1回目から来てくださった蒲さんの顔を見て、
嬉しくて起ち上がってしまった。

石巻に仙石線が開通した直後、
仕事の合間を縫ってきてくださった職員の方が、
今回、またいらしてくださった。

去年「日和山」の件で、日本一低い山のことを教えて下さった方が
今年もいらして、
「311オモイデツアー」のことを教えて下さった。
震災で失われたバスの路線を、一日だけ復活する
というツアーがあるのだそうだ。
以下の記事に詳しい。
asaisatoshi.jp


私は閖上に毎年足を運んでいるが
最初に行こうと思ったときは、交通機関を調べて
ほぼ、足がない
ということに気づかされた。
人が住んでいなければ、バスもとおらなくなる。
少し考えればわかる、
当たり前のことなのだが、
流されたのは建物だけではなかったのだ、
生活全体が、人間の活動全体が失われたのだ、
ということを
そのとき、はっきり実感した覚えがある。

私は非常に頭のめぐりがわるいというか
そういうことが、わからない。
行こうと思い、調べてみて、
「これは、行くのが難しいぞ」と思って始めて
「そういうものもみんな失われたのだ」
と、気づいたのだった。
それは、胸にどしんと響いて
今も忘れられない。

だから、この「一日だけでも、バスの復活ツアー」の意味が
自分なりに、解るような気がした。


また、登米市から来てくださった方がいらして、
うれしかった。
というのも、私が唯一参加した炊き出しの場
登米市だったからだ。
隣に素敵な、古い小学校の建物が残されていて、
また是非きたい、と思っていたのだ。
実はこんなアカウントもフォローしている。
twitter.com
その方に、
「炊き出しに行ったことがあって、
是非再訪したいと思ってるんです!」
と言ったところ、
オススメの場所を色々教えて下さった(ありがとうございます!)。
www.kokuzouson.or.jp


集合場所となったIRORIさん
irori.ishinomaki2.com
のわきに、
観慶丸商店の旧店舗がある。
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最初の石巻一箱のとき、私の持ち場は今のiroriさんの前だったので、
美しい古い建物があるなあ、、と思って見ていたのだが
この春に修復が終わり、リボーン・アートの会場の一つとして使われていた。
www.kahoku.co.jp

ここも、アートフェスの会場。
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ネコのイラストを描いたのは、去年も来てくださった
地元のイラストレーター、宮本悠合さん
彼女の描いた「めんこいこけし」のブックカバーを掛けた本を
何人かの方が見せてくださった。


石巻に、最初に来たときは
お客さんも、スタッフの方々も
さりげない笑顔の中に涙がいっぱいつまっていて
少しつついたら水が弾けて溢れそうな
水風船がたくさんある世界にいるような気がしていた。

それが、今年はもう
あの、水風船みたいなものは感じられなくて
でも、あの「水」は消えてしまったわけではなくて
皆さんの心の奥に、丈夫な壺にしっかりおさめられて
そして、そこにあるのだ
と思った。

これまでのたくさんの苦悩の経験の積み重ねが
丈夫な革を重ねたグローブのようなものになって
遠くからきた外部の人間である私を
優しく強く受け止めてくださっている
という感じがした。

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遠方から来てくださったお客様、
地元から足を運んでくださったお客様、
みなさん、本当にありがとうございました。
前回のブログでも書きましたが、
あの場を共有してくださったたくさんの皆様に
深く感謝いたします。