石井ゆかり@筋トレのブログです。
『星読み』もよろしく!

石巻に行ってきた。


7月25日、石巻で開催された一箱古本市に参加してきた。



今回で3度目の参加になる。




・1回目
http://d.hatena.ne.jp/iyukari/20120802/p1
http://d.hatena.ne.jp/iyukari/20120728/p1


・2回目
http://d.hatena.ne.jp/iyukari/20140727/p1


両方とも、伊丹から飛行機で行き、
そこから車やバスだったのだが、今回は違う。
仙台と石巻を結ぶJR仙石線が復活しているのだ。
ちょうど東京で打合せもあったので、
新幹線を乗り継いで、仙台から仙石線に乗り換え、石巻に向かった。


金曜日、夕方7時過ぎの仙石線である。
私は発車20分前くらいにホームに行き
「いくら何でもまだ早いよな、、どこで時間つぶそう」
とか思っていたら、
既にホームに車両が待っており、
中はかろうじて座れる・・かな?くらいに混んでいた。
仕事帰りの人や学生さんなどで、満員。


何とか席を見つけて座ったが、
進行方向がどちらなのかわからなくなった。
私は、進行方向と逆向きに座ると、
キモチワルくなる体質なのである。
思い切って隣に座っていた大柄な男性に
「これは、こっちに進みますか?」
と前を指さした。
すると、
「そうです、そっちです」
と教えて下さった。
それからしばらくして
その男性が
「進行方向のことですよね?」
と確認してくれた。
「はい、あの、逆向きに座ると、
気持ち悪くなるんで・・・」
と言ったら
「わかります、自分もそうなんで」
と仰った。


大きくて強そうな方だったのだが
優しい(和


発車時刻が来て、僅かに遅れて発車した電車の中は、
通勤通学の、ごく「あたりまえの日常」だ。
この「あたりまえ」が、
ほんの少し前までは、存在しなかったのだ。
それを思うと、
頭の中がしびれるような感じがした。
私たちは「あたりまえ」を心の底から信頼している。
でも、「あたりまえ」は、ときどき
ぜんぜん「あたりまえ」でなくなる。


約1時間走り、
石巻駅に着いた。
たくさんの人が降りてゆく。
土砂降りの雨だ。


明日は大丈夫なんだろうか・・・
と思いつつ、宿へ向かった。
宿について荷物を下ろすと
折りたたみ傘がほとんど用をなしていなかったことがわかった(ずぶ濡れ)
本を
先に送っておいてよかった!(涙



翌日はなんとか、曇天。
新潟から山口夫妻が助っ人に来てくださった。
「星栞」の写真を担当してくださっている山口達己さんと、
奥さんの満喜子さんである。
こちらも例年来てくださっていて、ほんとにありがたい。感涙。



今回割り当てられた場所の目の前には
星の子チョビンがいた。
背後にはオープンな飲食店があって、
たえず、オリーブオイルとニンニクみたいないい匂いがする。
そして正面からは、
海からくる、魚屋さんのような匂いがする。
これを鼻の中でブレンドすると
アクアパッツア!

なるような(ならないような
であった。



11時オープン前に既にたくさんのかたが並んでくださって、
持ってきた本はどんどん売れていった。
場所は去年よりもずっと駅から遠く、
条件的には悪かったと思うのだが、
やはり仙石線パワーなのか、
一箱古本市が根付いてきたのか、
去年より来てくださる方がはるかに多かった。
遠く県外から来てくださった方もあって、
ほんとう!!に、有り難い。


3度目、ということがどういうことなのか、
やってみるまで、わからなかった。
1度目から来てくださったGさん、Iさんなど、
お名前と顔を思い出せる方が幾人もいた。
いろんなつながりで、懐かしく探しに来てくださって、
「仕事」ではない、たくさんのあいさつを交わした。
ずっとお礼を言いたかった方にも会えた。
仙台から「火星の庭」の前野さんも来てくださった。
1回目の時に、隣の箱で、
震災で失った少女マンガを懐かしく手に取られていた方が
今回は助っ人として参加されていた。
http://d.hatena.ne.jp/iyukari/20120802/p1
ここに書いてた。
2回目でお客様に来てくださった方が、
今回は隣の箱で、一箱店主になられていて、
マンガの話で盛り上がった。


ちいさな物語だけど、歴とした物語が
きらきらと、あちこちに見つかった。
これが3回目っていうことなんだ、と思った。
11時から16時まで、たった一瞬なのに、
ちいさな点が繋がって、うっすらと、
短い線になったのだ。



慌ただしくてあまり写真も撮れなかったけど
街並みは息を吹き返しつつあるところと、
時間が止まったままのところとが入り交じっていた。
お客様としてきてくださった、JRのスタッフの方に
仙石線に乗った話をしたら
「だんだん、戻ってきて頂いてはいるんですけどね……」
と、呟かれた。
たしかに
一度切れてしまった「日常」の線は、
なかなか戻らないものでもあるだろう。



終わる頃には、
曇天が切れて、青空が出ていた。




いらしてくださった皆様、
スタッフの皆様、
本当にありがとうございました!!


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翌日、閖上



例年と同じ方角。

時間が止まったみたいに見える。


でも、そうでもないのだ。
もう少し内陸に入ると、
造成工事が進んでいた。
http://blog.livedoor.jp/coolsportsphoto/archives/51962309.html
くわしくはこちら。


日和山にも毎年変化がある。
クラウドファウンディングで手すりがついた。



山の斜面に、
紫陽花が植えられていた。



閖上」の文字。



いつもタクシーで連れて行って頂く。
毎回、どの運転手さんも、震災の時の話をしてくれた。
しかし今回の運転手さんは、とても若い青年で、
どうも、口べたのようだった。
で、大して会話はなかったのだが、
他に行くところがあってかなり長く乗ることになったため、
料金のことで、とても細かい気遣いをしてくれた。
私は彼に、
「気を遣ってくださって、ありがとうございます」
と言った。


そしたら、
彼は返事をしなかった。
完全に黙ってしまった。
私、なんか変な言い方したかな
と焦っていたら、
しばらくして、彼はゆっくりと、こう言った。


「こういうふうに、県外からお参りをしてくれる方は
なかなか無いので、こちらこそ、ありがとうございます」


彼が気を遣ってくれたのは、
単に、業務的な意味合いではなかったのだ、
と、わかった。
雲の切れ間から、光が差し込むようだった。
感電したように、じわっと涙が出た。


かつて、仙台のタクシーの運転手さんには、
震災のいろんな話をしてもらったが、
それと同じくらい、
「話して」もらった、と思った。


私はここでは、何者でも無い。
単なる部外者なのだ。
何か力になりたい、と思う一方で、
我ながら偽善っぽいなあ、と
心のどこかで、いつも後ろめたく感じているところがある。


でも、震災直後に誰かが言っていた。
偽善でもいいではないか、と。


何かするたびにまとわりつく気持ちの影が
彼のひとことで、すこし晴れた。


ゆるされた、という安堵が
座る席を示されたときのように、ありがたかった。