石井ゆかり@筋トレのブログです。
『星読み』もよろしく!

言葉のアヤ。


発端は
アノニマブックマーケットで買った一冊の本である。
「定本 古本泣き笑い日記」
この本の著者が経営する「善行堂」という古書店に、行ってみたくなったのである。


アノニマブックマーケットでは、
「出張北書店」でプチサイン会をさせて頂いたのだが
そのとき、すぐかたわらに本の売り台があって、
サインをぽつぽつとしながら、ヒマにまかせてなんとなく、
売り台の本をぱらぱらとめくって
「あ、コレ買おう」とかやっていたのだ。
そこで見つけた数冊に、これが入っていた。


思うに
北書店の佐藤さんは、ドラクエRPGの「街の人」みたいなのである。
話しかけると、次のミッションをそれとなく指示してくるのである。
「街の北の方にあるいていくとほこらがあって、そこで人が消えるという話を聞いたことがある…」
「この街の南に行くと、ホニャララ(←街の名前)への橋がかかっているわよ」
みたいな事を言われて
そこに行くことになるのである。
佐藤さん本人は「この本おもしろいですよ」と私に言ったことなど
たぶん、おぼえてはいまい。
そして私も、佐藤さんに言われたから買ったという意識はないのだが
…買って、現にここにあるのだから仕方がない。


京都の古本屋さん、ということだが、
ざっと読んだだけでは、どこにお店があるのか、明確には示されていない。
でも、なんとなく日記から行動半径を察するに
銀閣寺方面
という気がした。
ガケ書房にいってからいつもどおり進々堂のカレーセットを食べ…」(※)
あたり、あやしい。
ネットで調べると、やはり今出川百万遍からすこし東へ行った辺りのようだった。

私は自転車に乗って出かけた。


出発地点から見て、目指す方角は北東である。
これは「上り坂」を意味する。
京都の町は、北・東に向かって高くなっている。
一方、二月アタマの私は、
一年でもっとも運動不足で、筋肉がない。からだがなまっている。
この状態で自転車を走らせると、すぐに足が
「モウダメ、モウダメ」
サインを発してくる。
モウダメじゃない!惰弱な!
と叱咤激励しつつ、漕ぎに漕ぐ。
しかし、どんどん子供やママチャリに抜かれていく。
以前、ガケ書房に行ったときは、
着いた頃には完全に膝が笑ってしまった。
息が上がって、なかなかおさまらなかった。


丸太町から東大路を上がり、百万遍へ。
学生が多いが路駐も多く、車道も歩道もキケンだ。
百万遍を右に曲がると、そこからはあからさまな上り坂である。
見るだけで辛い。
しかし、のぼらなければならない。
銀閣寺から下ってきたと思われる、中高生の軍団が行く手を阻む。
彼らは、前を見ているようで、前はぜんぜん見えていない。お喋りに夢中だからだ。
だから、よけてくれない。あぶない。あぶない…あぶないよそこ!どいて!
と、心の中で言う。



「このあたりだろうな」
とアタリをつけたところに、
…ナイのである。。。。
この辺りは土地勘があるさへいへい
と調子に乗ってしっかり地図を確かめないで来ると
たいていこういうことになる。マーフィーの法則である(古)。
しかし、京都のお店は、ひとつひとつが実にこじんまりしている。
看板もハデさがなく、みつけにくい。
だから、場所はあってるのにみつからない、ということがよくある。
件のガケ書房に初めて行ったときも、
地図を片手にその前を三往復するまで、どこにあるかわからなかった。
だから、もしかしたら、見落としていたのかもしれない…と思い
そのあたりをぐるぐる回った。

ナイ orz


週報も書かなきゃいけないし
これ以上体力を消耗するわけにはいかない。
なぜか携帯もスマホももってきていなかった。
地図を検索するわけにもいかない。
仕方なく帰ろうとしたのだが、
「まてよ」
と、ひらめいた。
ここまできたなら、もう、
ガケ書房にいけばいいんじゃないか。
そこで「善行堂さんはどこでしょう」とか
聞けばいいんじゃないか。
そしたら教えてくれるだろう。


しかし。
ここからガケ書房のあいだには
もう一つ、おそろしい急勾配(←私限定)が待っているのである。
この太ももの状態でそんなものをのぼったら
こむら返り的なものを起こして
帰れなくなるかもしれない…。


私は
迷った。(いろんないみで



最終的に
「せっかくここまで来たんだから、いこうぜ!」
みたいな
少年ジャンプのヒーローっぽいノリになった。
なんのことはない
私は極度の出不精なので
ここまででてくるということがまず、奇跡なのである。
こんな奇跡は二度と起こるかどうか解らないのである。
この機会を逃したらたぶん
善行堂がどこにあるか
一生解らないままで死ぬかもしれないのである。(大袈裟)


いざゆかん
生きるとは
安全パイを選ぶことではないのだ。


私は自転車に乗り
ギアを思いきり軽くして
今出川を北がわへ渡った。
そして、猛然と上り坂をのぼりはじめた。


この道にそって疎水が流れていて、
春になると、桜がずっと疎水沿いに咲くのである。
きれいなんだよなあ、、、
などと感傷に耽る余裕はない。
ひたすら自転車を漕ぐ。
白川通りの標識が見える。
もうすぐ左に曲がるんだ…


とおもったそのとき


道の反対側に
青地に白い
「善行堂」の文字が・・・・!!


あったやん!!!!!(涙


しかし
道を渡るには
白川通りまで行かなければならない。(信号がナイ
私はえっちらおっちらのぼり、信号を渡り、
すーい
と、道を下って、
目的地にたどり着いたのだった。


ぜいぜいしているままお店に入るのはどうかと思ったので
お店の前で、安売りしている本をしばらく眺めた。
その背表紙を読んでいるうち
イイ。好み。
という気分が胸にわき上がってきた。


息がどうにかおさまったところで、
中に入ると、
お店の奥に座った、帽子を被ったおしゃれなおじさんが
かろやかに挨拶をしてくれた。


書店員さんや古書店員さんというのは
職人的な感じだったり、物静かだったりすることがおおく、
正直、あまり「とっつきやすい」感じではない。
まあ、書店という場所がそもそも「静かにしてないといけない場所」なので、
あたりまえと言えばあたりまえなのであるが
話しやすい書店員さん
というのは
けっこうレアな気がする。
でも、たとえば探している資料などがあって、それについて聞いたりすると
こちらより遙かに熱くそれを探してくれたり、熱心に情報をくれたりして、
その積極さにびっくりさせられることがある。
ある種の「ツンデレ」と言ってもいいかもしれない。
書店員の情熱は、分厚い沈黙の皮の内側に、あくまで「秘められて」いるのである…
等と思っていたのだが
善行堂の山本さんはそうではないようだ
というか
本をよんで
「どうもこの人は、ツンデレな感じじゃないかも」
と思ったのも
ここへ来た動機の一つだった。
なにしろ
塾の先生をしていて、中学生相手にプロレスをやったりしている人である。(本にそう書いてあった。)


山本さんは
棚の前で涎を垂らさんばかりになっている
獲物をみつけたハイエナ状態の私を見て
「本がお好きですね」
と声をかけてくださった。


確かに、本が「好きか」と言われれば
好きというしかない。
いまぐるっとみまわしても
私の部屋の主役はあきらかに、本である。
本は私のことを嫌いだとか言わないし
そのときの気分で態度を変えたりしないし、
いつも思いきり真剣に語ってくれるし
ほんとに、友にふさわしい存在だ。
酒もそういうところがある。
本と酒があればたぶん、私は大丈夫、とどっか、思っているフシがある。
特に本は。



お会計のときに、
この辺りの方ですか、とか、
学生さんですか(とんでもないわたしゃアラフォーだよ)とか、
そんな雑談を交わしたのだが
「このお店に来るということ」
にテーマが置かれたとき
私が緊張しながら話したのは
自分の今のふとももの状態について
であった。
ここにくるまでの、坂との闘いについて触れた。
そのとき一番心にビビッドだった件がそれだったからである。
山本さんは、
新しい本も入れてるんで、
運動がてら、また来てくださいね、と笑った。



お店を出て
下り坂のラクチン帰り道を
ひょっほー!!!
と興奮しながら下っていったのだが
ふと
自分の言動のまずさに気がついた。


「のぼってくるのが大変でした」
っていうのは
ものすごく悪意にとらえれば
「この店の場所は来づらい、来にくい」
という非難につながらないか…
けっこう、いや、かなり失礼ないいぐさではないか・・・・・・


「ではないか」ではない。
しつれいである。


私の「ひょっほー」は、川端今出川フェイドアウトした。


俄然、ブルーになった。


なんでいくつになってもこう、子供なのだろう。。。。
つたえたいことではないことが
つたわってしまっているではないか。。。


「すばらしいお店なのでこれからもぜひ寄らせて頂きたい」
ということを言いたかったのである。
なのに
「坂キツイからまたこれるかわからへんけどな」
的なことを言ったことになったような気がする。


なんなんだ。もうやだ(涙


そうではないということを
ここにこっそり
懺悔したい。


またいくぜ北白川。くびあらってまっ…ではない、
またよろしくお願いします。まる。(涙

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今ブログを拝見したら
私のことがちょこっと書かれていた!
ここ↓
http://d.hatena.ne.jp/zenkoh/20130208


はっはっは(赤面




百万遍近くの進々堂は、いまはもうないようだ。残念。
書いたあとでWebサイトで確かめたら表示されなかったので、なくなったのかなと思ったんですが、
別法人になったために、進々堂の公式サイトには表示されなかったんでした、、、お店はやってるようです。
じゅんこさん、ありがとうございます!