石井ゆかり@筋トレのブログです。
『星読み』もよろしく!

座らないライブ。


振り返れば2012年、「初めてやった」ことはいろいろあった。
赤道を越えたり、大きなパーティーの「主賓」としてご挨拶したり
自転車に轢かれたり、飛行機が別の空港に着陸してタクシーに5時間くらい乗ったりした。
華々しいことも残念なことも悲しみも苦しみもさまざまだったのだが
年末にまた、新たなセカイに一歩踏み出した。



縁あって、EGO-WRAPPIN'のライブに紛れ込むことができたのである!
オールスタンディング、つまり椅子がない、座らないライブとゆーのは
私は初体験だったのだ。
もとい、ずっと立ち席、というのはあったかもしれないけど
それは単に席がなくて立ち見だっただけで、企画としては座ることが前提なわけだ。
でも、オールスタンディングとゆーのはつまり
びょんびょん飛んだり踊ったりするのが前提となる。
朝から夜まで地蔵のように動かない、というライフスタイルのアラフォー女子に
そういうのってどうなんだろう・・・
と思ったが
なにしろEGO-WRAPPIN'なので
行かないわけに行かない
と腹をくくった。



大阪、日本橋の駅近くの「ユニバース」に
単身丸腰で乗り込んだわけだが
歴戦の猛者たちが段取りよく席を確保していくペースに全くついて行けず
ほとんどステージの見えない後ろの方にちょこんと立っている
という状況を作り出すのにかろうじて成功した。
ワンドリンクで、缶ビールを飲んでみたのだが
緊張のあまり全く回らない。
思わずツイッター


「生まれてはじめて、座らないライブにきてしまった。緊張してビールがまったくまわらないどうしよう女一匹さんじゅうはちのふゆ」


「みんなくろうとっぽい、やばい」


「もう一本のもうか、でもこのすみっこの場所をかくほしたい どうしよう っていうか 空缶どうしよう」


「みんな薄着でやる気じゅうぶんだ、セーターなんかきてるシロウトはおれだけのような気がする」


などの弱音を吐くと
ライブ経験者達からさまざまな
「こうした方が良い」「緊張しないで大丈夫」「みんなそうだよ」などの優しいことばを頂き
だんだん心強くなって


「みんなありがとう、幾多の指南をまとめると、「後ろのほうでゆらゆらしてろ」だな、よしそれでいく」


と、もう一度現場で覚悟を決めたころ、ライブがスタートした。


音に身体を持って行かれて、勝手に乗せられていく感じで、
ずっと(自分的には)イイ感じでゆらゆらしていた。
根性を出して、来てみてよかった、と思った。
すばらしい安定感というか、むしろ、
「絶対にこの音楽で気持ちよくさせてもらえる」という信頼感が
音楽自体から伝わってくるのである。
最後、前方がちょっとモッシュ気味になったとみえて
後ろからも舞台がちょっと見えて
おおおおお
と興奮したりした。


私の目の前には、最初、南キャンのやまちゃんみたいなシルエットの人がいたのだが
そのひとはいつのまにかすっといなくなり、
そのあと、カップルが入り込んできた。


男性は結構背が高く、女の子は、私と同じくらい。
まあ、どうせみえないんだからいいや・・と思い
いやでも視界に入る二人を眺めるともなく眺めていた。


彼は面倒見の良い方らしく、彼女に何かしきりにこえをかけて、
荷物を整理してあげたり、飲み物をとってあげたりと
とても彼女を大事にしているようだ。
女の子はカチューシャの似合いそうな、お嬢さんっぽい子であった。
あまり二人とも、場慣れした感じではない。
女の子はふわふわと身体を揺らし、
男の子はその後ろに、彼女を守るように立っていた。


この男性の方の後ろ姿に
私は、見覚えがあった。
私がいまよりずーーーーーっと若い頃、
数年つきあった男性に、よく似ていたのである。
もちろん他人のそら似であるけれども
暗くて顔が見えないから
余計に、そっくりそのままの姿に思える。
一方、彼女は私とは似ても似つかない、女らしい可愛らしい子だ。


ライブは盛り上がり、ハイテンションでエンディング、そしてアンコール。
このあたりになると、男の子も、手をあげてうごきだした。
私が言うのもなんだが
それもけっこう不器用でほほえましい感じで、
私は自分も初心者のくせに、おばさん力全開で、至近距離の二人を生あたたかく見守っていた。


そして最後、メロウな雰囲気の曲に転じ
彼は彼女の肩を抱き寄せて、実にいい雰囲気になった。
私の鼻先30センチにその素敵空間が展開されている。
ふたりのために
せかいはあるの。


二人を見ているうち、だんだんと
すったもんだの恋愛と、ひどい別れ方を思い出した。
彼への申し訳なさや後悔が、じわっと染み出してきた。


あの頃、私なんかじゃなくこういう子とつきあっていたら、
彼はもっと幸せだったんだろうなあ。
この目の前の光景は
「本当はあるべきだった光景」なんじゃないだろうか。
彼は、いまごろどうしているんだろう。
こんな感じの女の子とめぐりあって、
子供の2,3人もいて、
幸せでいてくれるといいのだが。。



若い、いきいきとしたカップルの真後ろで
ライブハウスの隅っこにひとりたたずみ
あのころから、もうずいぶん私は歳を取ったなあ、と
胸の中をしんしんと、切なくしていたのだった。


失った恋のかけらが、ライブハウスの天井にきらきらと
星のように輝いている。


ブルースはいつも
過去のことを語る。